風吹けばアイドル

何見てもアイドルのことしか考えられないクズドルオタのブログです。

「君の名は。」と「君の心は。」とアイドルとおたく


君の名は。」めっちゃよかった。


しかし周りの人には結構不評で、高校生向けの恋愛ものでしょ、あれのどこで泣いたのwって
感じで悲しかったので、あれのどこで泣いたんだろう?って気になってきて、
感想をまとめようと思った。


遠隔入れ替わり設定が最高だった。

通常の入れ替わりものっていうと、一緒に階段を転げ落ちた衝撃で男女が入れ替わってて、
周囲にバレないように共通の秘密としてドタバタする、みたいなものが定番だと思う。
けどこの「遠隔」入れ替わりは、他人の中に自分が入ってしまったということをすぐ理解できず、
まず自分としてお互いの身体に出会う。
まるで或る日突然パラレルワールドの自分自身になったように認識する。

初めての入れ替わりのとき、みつはは「都会のイケメン」になれたんだ~と自分の変身した姿だと勘違いしている。

だんだんお互いの状況がわかってきて、日記を使って2人はコミュニケーションをとり始める。
面識のない関係でありながら、その人自身として周囲の人と関わっていく。
三葉は、たいして瀧くんらしく振舞おうともしないで可能世界の中の自分を楽しむように憧れの都会生活を楽しむ。
田舎の女の子と都会の男の子がそれぞれお互いの環境の当事者になる。

その様子は、入れ替わりのドタバタや2人の恋愛の予感よりも
瀧くんだったかもしれない三葉、三葉だったかもしれない瀧くんに想像力を引っ張られた。

「遠隔の入れ替わりで、秒速5センチみたいな話」という前情報を聞いて、
メールや日記を使ったコミュニケーションを描いて
2人のプラトニックラブを描く映画なのかな?と思っていたけど、
その予想は裏切られ、入れ替わりの日常生活はとてもテンポよく進んでいく。

物語の中盤、入れ替わりが急になくなり、瀧くんが三葉を探しに行く。
そこで過去の災害を知るが、その時点で三葉だったかもしれない人である瀧くんは、
恋愛感情あるなしに関わらず、災害の当事者にすでになってしまっている。

災害、事件事故何もかも全て最近では、「当事者」じゃないと言及できない雰囲気がある。
君の名は。」は都会が一方的に地方を救う話のようでいて、
「遠隔入れ替わり」と恋愛のトリックで「当事者」の壁をすり抜けていく。
それはとても希望のあるものに思えた。

 
めちゃイケのパロディ企画「君の心は。」


めちゃイケで仲の悪い芸人の岡村と西野の仲直り企画として「君の名は。」のパロディ企画をやっていた。

普段テレビ見ないからこの2人がどういう感じか知らないし、
最後の和解シーンしか見てないのだけど、もうめっちゃよくて。

そもそも理解し合えない他人同士の思いやりや当事者性、現場性、自分のことのように相手を思うこと、
そういうことを映画作品を通して現実にするっていう構造がとても最高だった。

このスピードで「遠隔入れ替わり」ネタをガチ企画にするのってすごいし、
相互理解の装置にして仲直りをするのをテレビで流せるものにするのがすごいと思った。

この芸人2人の場合は遠隔ではないけど、お互いの芸能界での「立場」理解の装置になってて
「都会のイケメン」と「田舎の巫女」という遠くて理解できるわけもない立場の交換という映画と同じ。

 



私がアイドルに感じている魔法はこれにすごく近い気がする。
(アイドルがおたくに感じていることは全然違うだろうけど。。)

アイドルの女の子が自分に無関係な人なのは明白なのに当事者のようになってしまう魔法。

たとえ遠くの土地でもその人がいるから私にとっても馴染みの土地になる。
聖地巡礼する時、アイドルは私に乗り移りたそうにこっちを見ている。(ような気がする)

自分のことのように応援する気持ち。
しまいにはアイドルというコンテンツとしてのキャラクターだけじゃなく、
その中の人のことまで大切に思えてきてしまう魔力。

アイドルと入れ替わってるような気持ちでアイドルを見て、
アイドルの住んでる(活動してる)街まで行き、同じ歌を歌って踊って
彼女の好きな物を調べて真似して今何してるかなって思ってSNSでつながってアガる。

急にいなくなってしまい終わる関係性まで、君の名は。みたいだ。

 

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君の名は。」では一度途切れた入れ替わりの当事者関係の後に、偶然に街でもう一度出会う。

そしてその時、改めて今度は他者として、名前を名乗って始める。
あの頃の記憶はない2人は自己紹介をして、これから初めてコミュニケーションをとるのであって、
関係性はここから始まりどんな結末が待ってるかまだわからない。

「運命の人」的な演出だしそういう映画なのかもしれないけど、自分が感動したのは
分かり合えるはずもない他人同士が、魔法で偶然つながって、自分のことのように相手を思うことになって
それで災害も救って(救わなくてもいいけど)新しく恋愛の予感もさせて(成就しなくてもいい、というか他人同士に戻っているので傷つくことが前提の普通の関係)終わるところかなあと思った。